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Absolute Helligkeit
対光度/絶対等級

- 影の三部作 第二部 - 

 

Photo © Henryk Weiffenbach

 

不安定なまま時が止まったかのような部屋。それが闇に沈んだ瞬間に、ぽつりと光の点が浮かぶ。部屋は宇宙空間となり、闇に浮かんだ光は、衛星のように軌道に乗って動き出す。それは肉体も意識主体も持たぬ光の眼となって、探査機のように空間を旅し、私たちの意識世界という小宇宙の、未知の領域をあばきだしていく ― この部屋は、ひとりの人間の思考空間なのだ。

作品タイトルのAbsolute Helligkeit(アプゾルーテ・ヘリッヒカイト)とは、星どうしの明るさを比べるための基準の値あり、それは32,6光年という果てしない距離によって観測され算出されるという。この値を日本語では「絶対等級」といい、

ドイツ語では「絶対光度」という意味を持つ。人間は、物理的な知覚の限界を超えた空間や現象に思いをはせ、数式を生み出して、未知の領域に手を伸ばそうとする。だが、科学法則の整合性のもとに把握される世界と、私たちが見て、感じ、生きる世界は、同じ世界なのだろうか?

田中は、ひとつの小さな光の眼を通して、私たちの思考と知覚の限界を超えて存在する時空間に触れようとする。光と闇が交差するその旅は、幾多の記憶をはらんでいる ― 時には古代の洞窟のように、夜の子ども部屋のように、また水面下に失われた街のように、眼にうつる場面はうつろいゆく。そこで観客は、みずからの想像空間を鍵穴からのぞきこむような感覚に襲われるだろう。見えるものと見えないものとのはざまに呼びさまされる、子供のような驚きの瞬間。『Absolute Helligkeit(アプゾルーテ・ヘリッヒカイト)』は、認識論的な遊戯空間への招待なのだ。

『田中によるこの ”イメージ・ノイズ・動きの装置” は、驚くほどに「思考という現象」に近づいている。 その鋭い洞察は、光の輪と影のイメージとともに空間をただよい、つかみ取ることができない...が、次の瞬間にはそこにある!

そこにある、突然、科学さえも人間の感覚器官で捉えられない何かに縛られているかに見える瞬間に。そこにある、論理的に理解可能な定義の境界線がうやむやになる瞬間に。かつての、元来の科学の驚きに立ち返らされる瞬間に。

『Absolute Helligkeit』は、震え鼓動する皮膜の身体となって、人々を観察者の位置に引き上げる。この「科学と美術との認識論的コラボレーション」は、

これらすべてを巧みに体験させることに成功している。』 

(フランチスカ・オーメ/批評サイト“アルティベルリン“)

作品カテゴリー: インスタレーション・パフォーマンス

コンセプト|舞台造形|音響|パフォーマンス : 田中奈緒子

ドラマツルギー : アダム・シチラク 

製作 : 田中奈緒子|クリスティーネ・ペーターゲス

協力 : ミロス・ブジコビチ|アリス・ミション|Gallery Murata & Friends

共同製作 : Sophiensæle(Berlin) |PACT Zollverein (Essen)

助成 : ベルリン州政府文化局|ノルドライン・ウェストファーレン州美術財団

約40分

初演 : 2012年

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これまでの公演

23.06.2017 // PACT Zollverein, Essen

09.02.2017 // Sophiensaele, Berlin

15.&16.April 2016 //  Commedia Futura, Hannover

26.&27.Juli 2015 // Echigo Tsumari Art Triennale 2015, Niigata, Japan

30.10.2014 // Theaterfestival Favoriten 2014, Dortmund

03.10.2014 // explore dancefestival, Bucharest, Romania 

22.& 23.06.2013 // PACT Sommerfest / PACT Zollverein, Essen

09.& 10.05.2013 // 18. Internationales Figurentheater-Festival, Erlangen 

30.04.2013 // Danae Festival, Mailand, Italen 

04.07.(Premiere) 05. & 06. & 07. & 08.07.2012 // PERFORMANCE PLATFORM. BODY AFFECTS // Sophiensaele, Berlin

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